【面接一問一答シリーズ】「本校に期待することはなんですか」の回答例とポイント

いつもお世話になっております。

小学校受験コーチのかけるです。

今回は面接一問一答シリーズです。

テーマは「本校に期待することはなんですか」です。

小学校受験の面接では、志望理由や家庭の教育方針に関する質問に加え、「本校に期待することはなんですか」といった問いがよく出されます。

一見すると答えやすそうな質問に思えますが、ここには学校側の明確な意図が込められています。

ただ漠然と「教育に期待しています」「手厚い指導をしてほしい」と答えてしまうと、学校理解が浅い、あるいは依存的な印象を与えてしまう可能性もあります。

そこで今回は、学校がこの質問を通じて見ているポイントを詳しく紐解きながら、どのように答えればよいのか、内容・言葉遣いの両面から丁寧に解説していきます。

この質問をする学校側の意図

小学校受験の面接において「本校に期待することはなんですか」と尋ねられるのは、単に学校に求める要望を聞きたいからではありません。

学校側はこの問いを通じて、保護者がどのような教育観を持ち、どれほど学校の理念を理解し、共感しているかを見極めようとしています。

では、具体的にどのような意図をもって質問しているのか、具体的に解説します。

1.学校理解の深さ

学校側がこの質問で最も重視していることのひとつが、「保護者が、自校の教育理念や方針をどれだけ正確に理解し、そのうえで志望しているかどうか」です。

私立・国立の小学校は、それぞれ明確な教育理念や指導方針を持っており、「考える力」「個性重視」「宗教的価値観を大切に」など、学校ごとに特色があります。

そして、それらの方針は単なるスローガンではなく、日々の教育活動の根幹を成すものであり、6年間を通じて子どもたちの人格形成や学習姿勢に大きく関わっていきます。

そのため、学校側は保護者がその理念にどれほど共感し、腹落ちしているかをとても重要視しています。

「なんとなく良さそう」「有名だから」「進学実績がいいから」という表面的な理由ではなく、説明会や学校案内を読み込み、理念の背後にある考え方や教育観まで汲み取ったうえで、「だからこそわが子をこの学校に通わせたい」と語れるかどうかが問われるのです。

たとえば、ある学校が「自ら問い、考え、学ぶ子どもを育てたい」という理念を掲げているとします。

この場合、「探究心を重んじる学校なのですね」と理解するだけでは不十分です。

その理念がどのように日々の授業や生活指導に落とし込まれているのかまで理解し、具体的な言葉にできてこそ、理念への理解と共感が伝わります。

学校側は「本校の環境に心から納得し、6年間を通じて家庭と共に子どもを育てていけるご家庭かどうか」を見ているので、保護者は理念や方針をただ言葉として引用するのではなく、「どこに共感したか」「なぜ自分たちの家庭に合っていると感じたのか」を、自分の言葉で説明できるように準備しておくことがとても重要です。

2.家庭の教育方針と一致しているかが重要

学校側がもうひとつ重視しているのが、「家庭の教育方針と学校の教育方針がどれだけ一致しているか」という点です。

これは、保護者がどれだけ理念に共感しているかというレベルの話にとどまらず、実際に家庭でどのような環境をつくり、どのような姿勢で子どもと向き合っているかを見極めるための判断材料となります。

学校という場は、子どもにとって日常生活の大部分を過ごす場所です。

一方、家庭は人格形成の根を育てる場であり、子どもが安心して自分を表現できる唯一の場所でもあります。

この二つの環境において価値観のずれが大きいと、子どもは無意識のうちに「どちらに合わせるべきか」と戸惑い、心のバランスを崩してしまうことがあります。

たとえば、学校が「子どもの主体性を尊重する」ことを教育の柱に据えていたとしても、家庭が「親の指示に従わせる」ことを重視していれば、子どもは混乱します。

反対に、家庭でも「まず子ども自身に考えさせる」「親は見守る役割に徹する」といった姿勢が貫かれていれば、学校との教育方針に一貫性が生まれ、子どもはより安心して伸びていけます。

このような理由から、学校は面接を通じて、「ご家庭でどのように子育てをしているか」「その方針は、学校の教育とどう繋がっているか」を具体的に知りたいと考えています。

したがって、「理念に共感しています」という表現だけではなく、家庭での具体的な取り組みや日常のエピソードを交えて伝えることも大切です。

結局のところ、学校が求めているのは「家庭と手を取り合いながら、子どもの育ちを長い目で見守ってくれる家庭」です。

そのためには、「わが家の子育ての軸は何か」「その軸がこの学校とどこで重なるのか」を、日々の暮らしや親子の関わりを振り返りながら、言葉にしておくことが重要です。

3.保護者の教育姿勢と協力的な姿勢

学校側は、保護者の教育に対する姿勢や人柄も面接を通じて見極めています。

特にに注意して見ているのは、「学校に丸投げするような姿勢」や「手厚い対応を当然のように求める姿勢」が見えないかどうかです。

たとえば、「学校にお任せします」や「しっかり見ていただけると助かります」といった表現は、一見丁寧に見えても、依存的・受け身な印象を与えかねません。

一方で、「家庭でもできる限りの関わりを続けながら、学校と連携して子どもの成長を支えていきたいと考えています」といった、協力的で謙虚な姿勢は好印象につながります。

学校は、子どもと向き合ううえで“家庭と二人三脚で歩んでいけるかどうか”を重視しています。

そのため、学校への期待だけでなく、保護者としてどう関わるつもりかも丁寧に言葉にすることが大切です。

良い回答例と悪い解答例

「本校に期待することはなんですか」の良い回答例と悪い回答例をご紹介します。

良い回答例に関しては、そのまま使用するのではなく、志望校の教育理念やご家庭の教育方針、エピソードなどを適宜盛り込んで、工夫するようにしてくださいね!

良い回答例①

御校の「子どもの問いを大切にする授業」に強く惹かれ、娘の探究心をさらに伸ばしていただけることを期待しております。我が家でも、娘の「どうして?」という疑問にすぐ答えを与えるのではなく、一緒に調べ、考える時間を大切にしており、御校の教育方針に深く感銘いたしました。家庭でも子どもの好奇心に寄り添いながら、先生方と連携して成長を支えてまいりたいと思います。

この回答は、最初に「学校に何を期待しているか」を明確に伝えており、面接官にとって非常に分かりやすい構成になっています。

学校の教育方針に具体的に触れ、それに共感しているだけでなく、家庭でも同様の姿勢で子育てをしていることが伝わる内容になっています。

また、学校との協力姿勢を丁寧に示しており、依存的ではなく、主体的で協調的な保護者像が好印象を与えるポイントです。

良い回答例②

一人ひとりの個性を受けとめ、違いを尊重する御校の教育方針に強く惹かれ、娘が安心して自分らしく過ごしながら、他者への理解も深めていけることを期待しております。
娘は、初めての場では緊張することもありますが、慣れてくると自分の考えを伝えようと努力する姿が見られます。御校の中で多様な価値観に触れ、少しずつ自分らしく思いを表現できるようになっていくことを願っております。

この回答は、まず学校の「個性の尊重」や「多様性への理解」といった教育方針をきちんと把握し、その理念に強く共感している姿勢が丁寧に伝わる構成になっています。

加えて、子どもが「初めての場では緊張するが、慣れると自分の考えを伝えようとする」といった具体的な性格や様子を示すことで、家庭が子どもの個性をよく理解し、温かく見守っている様子も自然に伝わります。

最後に、志望校の教育方針を踏まえて、どのように育ってほしいかということを伝える形になっています。

良い回答例③

御校が大切にされている「感謝と思いやりの心を育む教育」に深く共感し、日々の学びの中で、娘の内面が丁寧に育まれていくことを願っております。
家庭でも、お世話になった方にお礼を伝えることや、年下の子に優しく接することの大切さを、折に触れて伝えてまいりました。今後も家庭でできることを丁寧に積み重ねながら、御校の温かなご指導のもと、子どもの心の成長を共に見守ってまいりたいと存じます。

この回答は、まず御校が大切にされている「感謝と思いやりの心を育む教育」への深い共感を、明確かつ穏やかに示している点が好印象です。

さらに、家庭でも「お礼を伝える」「年下の子に優しく接する」といった具体的な取り組みを挙げることで、教育理念と家庭方針の一貫性が伝わってきます。

そのうえで、「今後も丁寧に積み重ねながら」「共に見守ってまいりたいと存じます」と締めくくることで、保護者として学校に依存することなく、協力的かつ謙虚に関わっていく姿勢をアピールすることもできます。

悪い解答例①

中学受験も見据えて、基礎学力をしっかりと身につけられる教育に期待しております。貴校の卒業生には難関中学へ進まれた方も多いと伺っておりますので、将来の進路選択において有利になるような力を養っていただければと思っています。

小学校教育の本質を理解しておらず、「中学受験のための学校」として見ている印象を与えてしまいます。

また、学校が大切にする“6年間の育ち”に対する敬意が見えません。

もちろん、中学受験前提の私立小学校であれば、このような要素を回答に盛り込むのも良いですが、中高一貫校や大学までの進学を前提としている学校の場合は、避けた方が良いでしょう。

悪い解答例②

少し人見知りな性格で集団の中で黙ってしまうことがあるので、丁寧に対応していただける環境を期待しております。できれば先生方にも積極的に声をかけていただき、見守っていただけたらと思います。

支援をお願いすること自体は悪くありませんが、「学校に委ねたい」という依存的な姿勢に見えるとマイナスです。

もし盛り込むのであれば、親としての支援姿勢や家庭での取り組みも併せて述べる必要があります。

悪い解答例③

伝統のある学校ですので、安心してお任せできると思い志望いたしました。しっかりと教育していただけることを期待しております。

漠然としすぎていて、学校への理解や家庭の教育方針との一致が見えてきません。

熱意や理由が薄く、どこにでも通用しそうな印象を与えてしまうので、このような表現も避けた方が良いと思います。

さいごに

今回は「本校に期待することはなんですか」という質問の意図や回答例について解説してきました。

学校側は、保護者の言葉を通して、そのご家庭が学校の教育理念をどれほど理解し、共感しているか、そして入学後も協調的な姿勢で関わっていけるかを見極める大切な機会です。

ただ期待を述べるのではなく、子どもの個性やご家庭での関わりと、学校の方針がどのように結びついているかを、具体的かつ丁寧に伝えることが求められます。

そのため、今回解説した内容を踏まえて、回答を考えるようにしてくださいね!

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